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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
深夜バス
2016-03-31 Thu 06:20

あたしの両乳首に、それぞれ二つの爪が食い込んでいる。
みどりさんは指先を立て、乳首を挟んだ爪が効果的に、うまくかみ合うように
調節している。それはもう食い込むというより、何かに噛みつかれているよう
な痛みだった。

「うふふっ、痛いでしょう。こんなに食い込んでるんですもんねぇ」
「ふぁ、ふぁい」
「じゃ、こういうのはどう?」
言うが早いか、彼女は乳首を挟んだ爪を擦り合わせた。
「ふぐぅぅ~、ふひぃぃ~」
「んん~痛そうねぇ。じゃこれはぁ」
みどりさんがあたしの胸に顔を近づけると、突然乳首が爪から解放された。し
かし次の瞬間、彼女が乳首に噛み付いたのだ。
あたしの背中は、反射的に背もたれから浮き上がった。しかし彼女は空いた両
手であたしの両腕を押さえつけ、僅かな抵抗さえも許さない。
「んん~、いくわよぉ~、ほぉ~らぁ」
そして今度は乳首に噛み付いた歯を擦り合わせる。女が女の乳首に噛み付いて
いるその様は、見た目にもかなり残酷で、肉を噛み切る役目を持った前歯は、
実に効果的な道具であり、そこから泉のように湧き上がる痛みは、一瞬たりと
も途切れることがない。もし口にハンカチが入っていなかったら……。
「どう? 歯もオツなもんでしょう」
そしてまた噛み付いた。それはさっきよりも強く、痛みが維持するように力を
入れ続けている。
「ふぃ、ふぃ、ふひぃぃ~」
そしてそれが数秒続くと突然解放された。
「ふふふっ、ここからが本番よ」
「ふぉんはぁん……?」
小首を傾げたくなるその言葉の意味を咀嚼するよりも早く、彼女の片手があた
しの口を覆った。
「……?」
するとみどりさんの唇がパックリと割れ、今度は痛みでジンジンと疼く乳首
を、舌でチロチロと転がしだしたのだ。
「ふぁ、ふひいぃぃ~」
その激しい落差にあたしの全身はガクンと波打ち、舌で嬲り回される乳首から
は、痛みから衣替えをしたように快感が走り抜けるのだ。
そんなあたしの反応に、彼女は用心のためか片手で口を塞いだ。これで完全に
声は押し殺され、少々のことでは周りに聞こえないだろう。
「初めからこうすればよかったわ。ねっ、結衣ちゃん」
そして片手でまた乳首に爪を立てる。今度はあたしの顔を見ながらだ。
「ふぃ、ふぃ……」
「ふふふっ、痛い?」
「ふぁ、ふぁい」
「そうよねぇ、今まで噛まれてたんだものねぇ。もっと痛くしてあげましょう
かぁ? ほらっ……」
すると微調整するでもするかのように、爪に力がジワァ~と加わった。
「ふぃ、ふぃ~」
「ほらっ、、まだよ。まだよ結衣ちゃん。ほらっ、ほらっ、ほらっ」
「ふぐぅぅ~、ふひぃぃ~」
「あぁ~こんなに爪が食い込んで。これは痛い。ほらっ、ほぉ~らもっと」
「ふぃ、ふぃ~」
「んん~痛いわねぇ、このままよ。このまま。この痛みがずぅ~っと続くの」
「ふぃやぁ、ふぃやぁ~」
そんなあたしの叫びも、誰の耳にも届いてはいなかった。

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深夜バス
2016-03-27 Sun 07:45

あたしの乳首を摘んだ指先の行為は、 "摘む" から "抓る" に変わっていった。
当然痛みは増していく。しかしそれはあたしにとって、快感を高めていくこと
と同義だった。
「まぁ、結衣ちゃん。摘まれてて感じるの? うふふっ」
「はっ、はい。あぁ~、強くされるとどんどん……」
「そう、それじゃもっと強くしてあげましょうねぇ、ほらっ、どう?」
力は更に強くなり、あたしの乳首は彼女の指の間でかなり平たくなっている。
「あぁっ、あぁ~、あぁいいぃ~」
「んん~、ほぉ~らっもっと、もっとよぉ~」
力は更に増し、乳首は相当な強さで押しつぶされている。
「んん? 感じるのぉ。そうだ、爪を立ててあげる」
とうとう彼女は気がついた。爪で挟む。それこそが鋭い快感を生み、あたしに
とって一番効果的な責め方なのだ。
「結衣ちゃん、腕を後ろに回して……」
あたしは言われるままに、両手を腰の後ろに回した。彼女があたしの肩を軽く
押すと、両手は背もたれと自分の体に挟まれた。
「そのまま、抜いちゃだめよ」
「はい……」
あたしはもう、ごく自然に彼女の言いつけを守るようになっていた。それはも
ちろん嫌々ではなく、むしろ自ら進んでそうしているのだ。だから抜こうと思
えば抜けるこの腕も、決して抜くことはないだろう。
あたしはこんなことを、こんな仕打ちを受けたかったのだ。それが今こうされ
てよくわかる。今まで妄想の中の出来事でしかなかったことが、今まさに現実
に、進行形で行われている。。そう思うだけで、あたしの体は熱く疼いていく
のだ。しかしそれがなぜこんなバスの中なのか、それだけが悔やまれる。

あたしは胸に迫る彼女の爪を見た。可愛い桜色に照光るそれは少しだけ伸びて
おり、挟まれれば十分効果があるだけの長さはありそうだ。
みどりさんはあたしの口のハンカチを詰めなおすと、今まで乳首を摘んでいた
指先を、爪の先に変えた。しかしその方が摘みやすいのか、人差し指を中指に
変えた。
これで準備万端。4つの爪が両乳首にセットされたわけだ。
「うふふっ、いくわよ、結衣ちゃん……」
そう言うと、彼女はたまた指先、いや爪先に少しずつ力を加えていった。
「んんっ、んぁっ、んんぁ~ん」
モゴモゴとしたあたしの声をよそに、みどりさんの指の感覚は機械的に狭まっ
ていく。
「んふふっ、ど~ぉ~? 痛いぃ?」
「ふぁい」
「それとも気持ちいいのぉ?」
「ふぁ、ふぁい。ひぃもひぃひーへふぅ」
「そう、気持ちいいのぉ」
「ふぁ、ふぁい」
「それじゃもっと痛くしてあげましょうか。ねっ、結衣ちゃん」
「ふへぇ……」
「ほぉ~らっ、爪をしっかり食い込ませて」
「ふぅい~、ふぅいぃ~」
痛みが数段階上がり、あたしの乳首は今まで以上の痛みと快感に襲われた。
それは背もたれがなければ、後ろの仰け反っていただろう。

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深夜バス
2016-03-24 Thu 07:02

あたしはきっと、どこかで覚悟していたのだろう。この人とならこうなっても
構わない。いや、こうなることを期待して……、もっと言うなら、こうして欲
しかったのかもしれない。
だって、バスを降りれば二人はお別れ、もう会うこともないのだから……。

みどりさんはあたしの上半身を裸にすると、自分とあたしの席のリクライニン
グを倒した。そして添い寝するようにあたしの方を向いて横たわった。
あたし達の後ろはバスの一番後ろの席になり、当然そこには誰もいない。一番
近い客でも5つほど前の席のはずだ。
「さっ、楽しみましょう」
みどりさんは小声でそう言うと軽いキスをした。まるでそれがスタートの合図
かのように、あの長い舌 "赤い蛇" があたしの口に潜り込んできた。すると彼
女の指が、あたしの乳首をチョンと摘んだ。
「あぁん……」
あたしは突然のことに、思わず声を出してしまった。もちろん大きな声ではな
いが、あたしは自分の声にビックリしてしまった。しかしどうやら、周りに気
付かれた気配はない。
「シッ! だめよ、それ以上大きな声出しちゃ」
「はっ、はい……」
みどりさんは "チュッ" と軽いキスをすると、今度は唇をあたしの乳首に近づ
けてきた。彼女の唇から伸びた赤い蛇が、ゆっくり乳首に迫ってくる。そして
蛇を乳首に触れる寸前で止めると、無言であたしの顔を見上げた。その顔は、
"今度は声を出しちゃダメよ" と目で念を押している。
あたしが小さく頷くと、いよいよ赤い蛇がその長い体を表したのだ。
「あっ、あっ……」
舐められる、もうすぐ乳首を舐められる。そう思うと、そこに神経が集中する
かのように敏感になる気がする。
それは子どもの頃、予防接種の順番が自分の番になり、注射針が刺さる寸前の
あの緊張感を思い出させた。
みどりさんがそれを察したとは思えないが、なんと彼女は乳首の数ミリ手前で
蛇を止め、あたしの緊張を楽しむかのように蛇を空振りさせたのだ。蛇は左右
に頭を振るが乳首には触れない。それでもあたしの乳首は固くシコり勃ってし
まった。
そんな乳首の変化を見て、みどりさんが妖しく嗤った。そしてその唇が一際大
きく開くと、生暖かな蛇の頭が硬い乳首をチロリと1回だけ舐めたのだ。
あたしは声を出すことはなかった。それを確認したかったのか、今度はチロチ
ロと続けざまに舐めだした。
「んっ、んんっ~」
あたしは口を閉じ、必死で声を押し殺した。するとみどりさんはいつの間にか
ハンカチを取り出し、あたしの口に詰め込んだのだ。
あたしの声は、サイレンサーを取り付けた銃のように押し殺された。
「うふふっ、最初からこうすればよかったわね」
そして乳首を口へと吸い込んだ。彼女の温かな口の中で、あたしの乳首は右に
左に首を振り、コロコロと輪を描くように転がされ、時に強く吸われた。
蛇はいいようにあたしの乳首を弄んでいるのだ。
「あぁっ、あぁぁ~」
「んん? 感じるでしょう。こんなにコリコリだもんねぇ~」
「あぁ、はっ、はい……。あぁ~感じるぅ」
ハンカチの詰まった口ではモゴモゴとした言葉となったが、彼女には通じたよ
うだ。しかしそんな会話でも、周りに聞こえやしないかとヒヤヒヤものだ。
「うふふっ、ほらっ、摘んであげる」
みどりさんは、あたしの両乳首を親指と人差し指で挟み込むと、指先に少しず
つ力を加えていった。
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深夜バス
2016-03-20 Sun 07:25

彼女があたしの顎をクイッと持ち上げた。
「あたしがいっぱい可愛がってあげる」
あたしが黙って頷くと、みどりさんの唇がまた近づいた。
今度はさっきと違い、強引に唇を押し付けてくるキスだ。そしてそのまま舌を
あたしの口にねじ込んできた。しかもその舌は蛇のように長く、ヌルヌルとあ
あたしの口に潜り込んでくる。
「んんっ、んぐぅ……」
「どう? あたしの舌。長いでしょう。ほらっ」
赤い蛇がまたあたしの口に侵入した。それは喉の奥まで届いているかのよう
な、そんな気がするほどに長い。
「あっ、本当に……、長い……」
あたしは半ば息を切らしながら言った。
「そうでしょう」
そして赤い蛇はあたしの舌に絡まり、上あごや歯茎をくまなく舐めまわした。
そんなキスは初めてで、世の中にこんなキスがあるのかと、あたしにとっては
ちょっとした驚きだった。しかもキスはそれで終わらず、今度はあたしの舌が
みどりさんの口の中へと吸い込まれたのだ。どうして、いつのは間にかあたし
は自分から舌を……。
彼女は口の中であたしの舌をチロチロと舐めたり、舌ごと唾液を吸い上げるよ
うにした。それはまるで子犬が乳を吸っているところを想像させる。
そして2枚の舌lは時に "チュパッ" という音を立てた。その度にあたし達は凍
りついたように動きが止まった。でもそれはほんの一瞬ことで、すぐにまたキ
スは再開した。

あたし達はいつの間にかシートの上で向き合っていた。唇を重ねたまま彼女の
両手がゆっくりとあたしの背中に回りると、あたしの両手も彼女の背中に回っ
ていった。
「キスだけていいの? 結衣」
「えっ?」
「キスだけじゃ物足りないでしょう。せっかくのチャンスなのに」
「えっ、でも、こんな……」
「こんな? こんなバスの中じゃって意味?」
「えぇ……」
「大丈夫よ。コッソリやれば……。見つかりゃしないわ」
そういうみどりさんの両手はあたしの胸を柔らかく鷲掴みにしている。その指
にだんだん力が入り、そして一気に抜ける。
「あぁん……」
「ほらっ、脱がしてあげる」
みどりさんはセーターを脱がせると、そのままシャツのボタンを外しにかかっ
た。その一連の流れはとてもスムーズで、彼女はあっという間にあたしのシャ
ツを肌けると、そのままブラを外すために背中に両手を回した。そしてホック
を外しながらキスをした。
結局あたしはみるみる服を脱がされ、上半身裸になってしまったのだ。車内は
エアコンが強力に効いている為、寒さは感じなかった。
「うふふっ、思ったより大きいのね。結衣は着痩せするタイプなのね」
「そうかも……」
「乳首もピンクで可愛いわ。それにとっても敏感そう」
「えぇ……」
「食べてもいい?」
「はい」
あたしの顔を見て、みどりさんが妖しく微笑んだ。

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深夜バス
2016-03-17 Thu 06:01

「いいわねぇ、結衣ちゃん若くて。羨ましいわ。あたしは39。来年の夏には
もう四十路になるの」
「そうなんですか? 全然見えませんけど。あたしより2つか3つ上かと思い
ました」
「まぁ、ありがとう」
みどりさんがあたしを見つめた。lそれは熱く、ねっとりと絡みつくような視
線で、あたしはそれがどういう人の持っている視線かを知っていた。
それはあたしと同じ、女を愛する女が持つ視線だ。
「えっ……。みどり……、さん」
「いいのよ。分かるわ、あたしもそう。だから分かるの、あなたもあたしと同
じだって。そうなんでしょう?」
もう説明も確認もいらなかった。だってあたしには、その意味が分かりすぎる
くらい分かるのだから。
だからあたしの答えは
「はい……」
だった。
「やっぱり……。一目見た時からそうだと思っていたの。だからあなたの反対
側のあの席に座って……」
「そうだったんですか……」
みどりさんは黙って頷いた。
「こっち向いて」
みどりさんの顔も少し赤くなっている。そんな彼女の顔がk、あたしにグッと
近づいた。

あたしは反射的に車内を見回した。見回すといっても、前後を2つのシートに
挟まれているため、大して見えるわけではない。
最終的にこのバスに乗った乗客は10人ほどだろうか。幸いそのすべての人が
この席よりも前に乗っている。彼女たちが後ろを振り返っても、シートの陰に
なっているあたしたちが見えることはないだろう。でも音は要注意だ。多少の
音は走行音にまぎれるとしても、会話も声をひそめないと聞こえている可能性
がある。だから声も相当押し殺すことになり、まるで内緒話でもをしているよ
うな会話になる。

「ねぇ、キスする?」
「えっ?」
「キスよ。キ・ス……」
「えっ、あっ、は、はい……」
「うふふっ。じゃ、もっとこっち向いて」
あたしはズリズリとお尻をずらし、体ごとみどりさんの方に向いた。
するとみどりさんはあたしの頬を両手で挟んだ。
「可愛いわね、結衣ちゃん」
「みどりさんだって、綺麗です……」
「可愛い唇。食べてもいい?」
あたしは黙ってうなづいた。するとみどりさんの顔があたしに近づいて、その
柔らかな唇があたしの唇に触れた。
フレンチキスというやつだ。
もっと情熱的なキスを想像していたあたしは、ちょっと拍子抜けした。でもそ
れはあたしが勝手に想像していただけで……。
しかし、次にみどりさんが口にした言葉は、あたしの想像を超えていた。
「結衣。もうあなたはバスを降りるまであたしのものよ。いいわね」
「は、はい……」
その有無を言わさぬような妖艶な瞳に、あたしは迷わず答えていた。
そしてこの返事で、二人の主従関係が出来上がったのだ。いや、もしかしたら
それは、出会った瞬間から出来ていたのかもしれない。

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深夜バス
2016-03-13 Sun 06:32

三角形に並んだ3つ赤いバラ。それがLOVE ROSES のラベルだ。
彼女の持った小瓶がそれに間違いことは、通路を挟んだここからもハッキリと
わかる。
それにしてもまさか同じバーボンを……。あたしはちょっと驚いた。
「うふふっ、偶然ね……」
「はい……」
そう答えるのがやっとだった。だってタイプの人から話し掛けられて、あたし
はちょっとドギマギしていたのだ。
「お酒はよく飲むの?」
ちょっと上から目線。でもあたしにはそれが堪らない。
「えぇたまに。でも普段はあまり。今日はよく眠れるようにって、一応……」
「なるほど。あたしはよく飲むわ。中でもこのLOVE ROSES一番好き。飲む
時はいつもこれなの」
「そうなんですか。あたしもこのバーボン好きです」
「そう、気が合いそうね。あたしたち」
「えっ……?」
そして彼女は、畳み掛けるようにこう言ったのだ。
「ねぇ、そっちに行ってもいい? 一緒に飲みましょう」
「えっ、あっ、はい。どうぞ」
突然の申し出に、あたしはまたドギマギしてしまった。
そんなあたしをよそに、もう彼女は立ち上がっている。
あたしは急いで隣に置いたコートを膝に置き、彼女のために席をつくった。
すると彼女がタイミングよく隣へと腰掛けた。
「うふふっ、お邪魔しまぁ~す。あっ、コート、こっちに置いとくわね」
彼女は通路を挟んだ自分の席へ、あたしのコートを投げ入れるように置いた。
「あっ、すみません」
「いいのよ。とりあえず乾杯しま……、あっ、まだ名前言ってなかったわね」
「あっ、そうですね……」
同じお酒を見せられて、なんとなく忘れていた。
「あたしは藤原みどり。よろしくね」
「牧田結衣です」
「まぁ、結衣っていうの……。かわいい名前ね。ねぇ、結衣ちゃんって呼んで
もいい?」
「えぇ、もちろんです。普段からそう呼ばれてますし……」
そんな会話をしながら、あたしたちは小瓶の蓋を外した。
「じゃあ結衣ちゃん」
みどりさんはそう言うと、乾杯を促すように小瓶を顔の高さに持ち上げた。
あたしも同じように小瓶を持ち上げる。
「二人の出会いに……、乾杯」
「乾杯」
あたしたちは控えめに瓶を合わせた。そっとキスをするように触れ合った小瓶
は、二人の耳にだけ届く "カチン" という硬質な音を立てた。
お互い当然コップの用意などない。だから自然ラッパ飲みになる。
小瓶に入ったバーボンは180ml。一合だ。とりあえず乾杯はしたものの、どん
なペースで飲んだらいいのか、ちょっと迷う。
あたしはすぐに顔に出るタイプだ。バスの暖房も手伝って、早くも赤くなった
らしい。
「あらっ、結衣ちゃん少し赤くなってわよ。もぉ酔っちゃったの?」
「いえっ、そんな……、まだ……」
「ねぇ、もしかして緊張してる?」
「いえっ……」
正直、緊張していないと言えば嘘になる。みどりさんがいくらタイプだとはい
え、今知り合ったばかりなのだ。
「いいのよ無理しないで。しょうがないわよ。ねぇ、結衣ちゃん今幾つ?」
「33です」
「まぁ、若いのねぇ」
そう言ったみどりさんの目は、妖しく輝いていた。
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深夜バス
2016-03-10 Thu 08:24


あたしの反対側に座った彼女は、一度立ち上がるとダウンを脱いだ。そして小
ぶりのバッグを収納ボックスに入れると、二つ折りにした黒いダウンを隣の席
に置いた。
そんな彼女の一連の動作を、あたしは横目でチラチラと見た。
年の頃は30半ば……? だろうか。30歳のあたしより年上なのは確かだが、
それが2つなのか3つなのか、それともそれ以上なのか。その辺のことろはな
んとも摑みどころがない。
ゆるく波打つ黒髪は背中の中程まであり、ダウンを着ている時はわからなかっ
た胸は大きく張り出し、膝上のスカートから見える足はスラリと伸び、今は広
いシートの上でセクシーに組まれている。
そして何よりも、あたしを釘付けにしたのは彼女の顔だ。
面長で白い肌。意地悪そうな切れ長の目は、どこか優しい光も湛えている。
酷薄そうな薄い唇には、強目の発色の口紅が塗られ、その唇がこれまた意地悪
そうに微笑んでいる。初対面の人をそんな風に見てしまうのは、あたしが根っ
からのMだからだろうか。
しかしあたしは、こんなSっ気を感じさせる女性にグッときてしまうのだ。

その時白い車体がブルッと震え、バスのエンジンが掛かった。
「当バスは、〇〇駅発、金沢行きでございます。金沢には明朝8時着を予定し
ております」
その他これからの予定等のアナウンスが終わると、バスはゆっくりと走り出し
た。それはまだ眠い目をこすっているかのような感じだったが、4車線の幹線
道路に出ると、バスは目を覚ましたかのように加速を始めた。
スピードを上げても車内は驚くほど静かで、振動も優秀なシートが全て吸収し
てくれる。これだけ乗り心地が良ければ、カーテンさえ閉めてしまえば、そこ
は即寝室へと変わっていしまいそうだ。

しばらくすると、いつのまにかバスは高速道路を走っていた。次々にすれ違う
ライトが、金色のビー玉のように転がっていく。
左端の座席へと目をやれば、彼女も窓外へと目を向けていた。そこには無機質
で無秩序な都会の夜景が、サラサラと後ろへと流れている。
そんな窓に映る彼女の目は、ちょっと寂しそうで疲れているようにも見えた。
あの人は何を想っているのだろう。いくつものビー玉を目で追いながら、あた
しはそんな事を考えていた。
「そうだ……」
あたしはふとバーボンの事を思い出した。あの小瓶は隣の席に置いたコートの
ポケットの中だ。あたしはコートのポケットを探った。
「あれっ……? 反対?」
小瓶を入れたポケットを左右間違え、あたしは改めてコートに手を伸ばした。
あたしはその時、そんな自分を見つめる彼女の視線に気がついた。
突然のこととはいえ、あたしはちょっと苦笑いで会釈をした。そんな顔になっ
たのは、ポケットを探ってるのがカッコ悪いのと、しかもそれが左右を間違え
てやり直し。そんなバツの悪さからだ。
しかし彼女は、そんなあたしに優しく会釈を返してくれた。彼女はあたしが困
っていると思ったのか
「探し物ですか?」
と声をかけてくれた。
「えっ、えぇ……」
さらにバツが悪そうになった時、右手がようやく小瓶を握り、それをポケット
から引き出した。
「これをちょっと」
指先で摘むように持った小瓶を、あたしは彼女に見せた。
「あらっ、LOVE ROSES 。それならあたしも……」
「えっ?」
「ほらっ……」
なんと彼女は、まるで手品のように同じLOVE ROSES の小瓶を出し、それを
あたしに見せたのだ。

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深夜バス
2016-03-06 Sun 08:35



~深夜バス~



PROLOGUE 
時刻は夜の10時半を回ろうとしている。
こんな時間にあたしは、実家の金沢に帰省するため、あるバス停に向かって歩
いている。そのバス停は、東京を夜中に出発する深夜バスのバス停だ。
頬を撫でる風は冷たく、道の隅には一昨日の雪がまだ残っている。
冷えた手をコートのポケットに入れると、バーボンの小瓶が手袋越しに指先に
触れた。『LOVE ROSES 』今夜はこれでも飲んで、ぐっすり寝てしまおう。
そう思ってさっき買ったものだ。
あたしは小瓶を指先で弄びながら、バス停への角を曲がった。



やっと終わった、これで何もかも。もう思い残す事は何もない。
これで苗字も、旧姓の牧田に戻ったのだから……。

私が離婚した理由。それは夫との、いや彼との生活はすれ違いが多すぎたこ
と。そして彼との夜の営み。いわゆる "性格の不一致" というやつだ。
彼はいつも一方的で、それは事務的でさえあった。彼は自分だけの満足で終わ
り、あたしの満足などいつもそっちのけだった。だからあたしはいつも、その
後で自分で慰めていたのだ。
しかしそれだけが離婚の理由ではない。
これは親兄弟はもちろん、今回相談に乗ってくれた親友にも言ったことはない
のだが……、実は私は同性愛者なのだ。
だから夫との営みは、いつもどこか嫌悪感がつきまとっていた。
故に彼との営みも当然減る。しかしそんなことにも慣れっこになっていたあた
しが、事ここに及んだのは、長年の鬱積と我慢の限界だったのかもしれない。


角を曲がると、50メートルほど先に白いバスが見えてきた。
星空の手前で、あたしにお尻を向けたバスは、エンジンが掛かっていないせい
か、少し寂しそうに見えた。
近づくほどに白一色と思っていた車体に、ピンクの細いラインが引かれている
事に気がついた。そのラインはやがて7つの角を作り出し、バスの真横を通り
かかる頃、それがようやく北斗七星だと気づかせてくれる。
そしてその下には、これまたピンクの文字で。PORARISと書かれている。
『女性専用深夜バス ポラリス』。それがこのバスの正式名称なのだ。
幾つかの窓にはカーテンが引かれ、既に何人かが乗車しているようだった。
あたしは生まれて初めての深夜バスに、最初の一歩を踏み入れた。

車内は水色のシートが4列に並び、その背もたれにもピンクの北斗七星が描か
れており、全体的にはかなりゆったりとした印象を受けた。
左右2列づつの真ん中を歩き、あたしは一番後ろから2番目の右側に座った。
コートは隣の席に、バッグは収納ボックスに入れてしまえば邪魔になる事もな
い。もちろんポケットからバーボンの小瓶を出すのも忘れなかった。
シート座れば、前の座席の背もたれには化粧直しのミラーがあり、シートの下
にはレッグレストがあった。それには温熱ヒーターとマッサージ機能が付いて
いるようだった。この辺はいかにも女性を意識したデザインと機能だった。

発車時刻の11時まで、あと10分を切った。
バスには10人ほどの乗客しか乗っておらず、もうこれ以上は乗ってこない
ようだった。
「なんだかこれじゃ、ほとんど貸切みたいなもんね」
年末や夏休みなら兎も角、なんでもない平日ではこんなものかもしれない。
そんな事を思っていると、1人の乗客が乗ってきた。おそらくこの人が最後の
1人だろう。
そんな彼女と一瞬目があった。でもあたしはすぐに視線を逸らした。
黒いダウンでシートの間を器用に歩きながら、彼女はみるみるあたしのいる後
部まで歩いてきた。
そしてあたしと同じ後ろから2番目の、通路を挟んで左側の窓側へと着席した
のだ。他の席もこんなに空いているのに何故。そんな疑問もよぎったが、彼女
を見た途端、そんな疑問も喜びに変わった。それは彼女があたしのタイプだっ
たからだ。

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蛍の言の葉
2016-03-03 Thu 12:15




蛍の言の葉は予告やお知らせ、作者の近況報告などを知らせします



▪️お知らせ


1年チョットのご無沙汰です。
こんなに長く休むつもりはなかったのですが。まぁ、なんとなく……。


この度、久しぶりに作品を書いてみました。
リハビリ代わりになればと思い、まずは軽い気持ちで書いています。

タイトルは 『深夜バス』 です。
深夜バスの車内で繰り広げられる痴態。
もしも見られたら、声を聞かれたら。そんな思いとは裏腹に、秘めた欲望が
淫靡な炎を揺らしていきます。



今回の更新日は、毎週日曜日と木曜日になります。
  変更になる場合は、この “蛍の言の葉” でお伝えします。




▪️予告


函館に向かう女性専用深夜バス『ポラリス』。結衣が座ったのは後ろから
2番目の右側。しばらくして、通路を挟んで反対側のシートにもう一人の
女性が座った。見れば彼女は結衣のタイプの女性だ。そんな時、ふとした
ことから彼女から声をかけられた結衣は・・・。
「うふふっ、結衣ちゃん。このまま朝まで可愛がってあげましょうか?」




『深夜バス』 は、
3月6日(日)スタートです。
お楽しみに。




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| あなたの燃える手で |