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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
怪盗ムーンライト
2013-06-23 Sun 06:31

40
「まず犯行予告日は土曜日の昼で、それは1番混雑が予想される日だったわ。
でもあたし達は搬入時から護衛を付け、完璧を期して搬入を終えた」
「えぇ、そうね」
「ルビーはガラスケースに入れられ部屋の中央に置かれた。24時間の監視体制
に防犯カメラ、赤外線感知に重量感知などの措置も取られた。そしてもし感知
器が作動すれば、警報音が鳴る仕組みになっていた」
「えぇ」
「そして当日。館内は予想通りかなりの混雑だった。そして12時。展示室内
で数本の発煙筒が炊かれた。廊下にまで充満した白煙は、隣の人の顔も見えな
いくらいに濃密だった。警報音は鳴らなかったけど、警官は煙でパニックに
なった客と混ざり合ってしまった」
「煙が晴れたとき、『アルセーヌの瞳』という名のルビーは煙と共に消えてい
た。代わりに台座には、月光からの礼状が置かれてた。ってことよね」
「そうね。スグにドアが閉められ、客の所持品チェックが行われた。しかしル
ビーは見つからない。一体ムーンライトはどうやってルビーを盗んだのか?」

奈緒子はまるでクイズでも出すような言い方をすると竜胆を見た。
「うん。どうやって盗んだの……?」
「まず、ジェシカことムーンライトは、ケースに一番近い所で発煙筒が炊かれ
るのを待つ。彼は刑事だからそこにいてもなんの不自然さもない。そして相棒
が発煙筒を数本炊く」
「当然展示室内に煙が充満する」
「そう、そしてムーンライトは警報装置を切りルビーを盗む。ジェシカとして
潜り込んでいたムーンライトは、警報装置のスイッチの場所も切り方も知って
いて不思議はない。そして指紋認証も、日頃一緒にいるあなたの指紋を入手す
ることは簡単だったはずよ。その指紋を装置が認識するように加工する」
「そんなこと、出来るの?」
「出来たのよ、世界を股に掛ける怪盗には。きっと今までも何度か指紋認証を
破ったコトがあったのかも知れないわね」
「確かに……」
「あとは礼状を置いてその場を離れるだけ」
「なるほど、それで」
竜胆は奈緒子に続きを促した。
「展示室のドアが締められ、持ち物検査が始まるけど、本物のルビーはジェシ
カが持っている。刑事である彼女は当然検査はされない。客として入場してい
た相棒は普通に検査をパス。もちろん入場チケットも異常はない」
「なるほど……」
「やがて持ち物チェックが済み、相棒は他の客達と一緒に帰され、ジェシカは
あなた達と署に戻る」
「それじゃ、あの時ルビーはジェシカが持っていたの?」
「そういうことになるわね、多分ポケットにでも入れてたんじゃないかしら」
「そんな……、あの時ルビーが目の前にあったなんて」
「まんまとやられたってワケ……」
「結局『ルパンの涙』も『アルセーヌの瞳』も、『クラリスの首飾り』も全部
盗られて、ムーンライトの事で新たな情報も無し……ってワケね」
「そうでもないわよ。あの髪はカツラ。目の色もカラーコンタクト。でも彼女
の話した日本語、あれは完全に日本人のモノだったわ」
「じゃ、ムーンライトは日本人?」
「その可能性は大きいわ。ただ、あのネイティブな英語からするとハーフの可
能性も捨てきれないけど。そしてムーンライトは女だってコトもわかったわ」
「女……」
「今までは性別すら分からなかったんだから大きな収穫よ。それに彼女……」
ムーンライトはレズビアンだ、と言おうとして奈緒子はやめた。
これは自分だけが知っている彼女の秘密として、そって胸にしまった。


EPILOGUE
そして数週間後。

「竜胆さん」
「んん? なんだカンナ」
「これ、この記事。これってもしかして……」
カンナは手にした新聞を竜胆の横で拡げた。
「ここです」
竜胆はカンナの指差す記事を読んだ。

記事を要約すると、東南アジアの数十の施設や病院に多額の援助資金が送ら
れ、それにより多くの子供達の命が救われたとある。
送り主の名は『月の光』。
そしてその記事には、幸せそうな笑顔を浮かべる子供達の写真が載っていた。


ーENDー


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怪盗ムーンライト
2013-06-22 Sat 06:14
39
「類は友を呼ぶってわけね……。まさか美術館に潜入がいたとはね」
2人の関係までも見破られた小夜と円香は、ズルズルと車へと近づいた。
「動かないで」
奈緒子の拳銃はピタリと2人を捉えている。
「あなた達を撃ちたくはない。分かるでしょう」
「……わかったわ」
奈緒子は拳銃を向けたまま2人に近づくと、手錠を出した。
「詳しいことは署で聞くわ」
それは奈緒子が左手で円香の右手首を握り、右手で手錠を掛けようとしたとき
だった。円香の右手首がクルリと返り、奈緒子の左手首を握った。
続けざまに左手で円香の手錠を持った右手を封じた。
するとなんと円香は、奈緒子の両手を持ったまま右足を横へと振り上げた。
膝を伸ばしたままの右脚は、弧を描いて奈緒子の左側頭部に命中し、奈緒子の
頭から意識を弾き飛ばした。
強力な打撃を受けた奈緒子は、両手を掴まれたままズルズルと円香の前に崩れ
落ちた。おそらく自分になにが起きたか分からないまま。

数十分後、奈緒子は路肩に寄せられたバイクの陰で気が付いた。まだ夜は明け
ていなかった。
その日行われるはずだった『ルパンの宝石展3』は、当然中止となった。


「 "ムーンライトには影が2つある" まさかあんな若い子だったなんて」
「大丈夫なの? 奈緒子……」
運ばれた病院のベッドの傍らに、晶が立っていた。
「えぇ、もう何ともないわ。でも自分が何をされてこうなったか分からない
の。とにかく突然頭に衝撃を受けて……。気が付いたらこのベッドの上」
「いいところまで追い詰めたのに、本当に残念ね」
「えぇ、ムーンライトはジェシカ・アンダーソンに変装したままで、素顔も分
からずじまい。あの若い相棒の名前も分からないし、『クラリスの首飾り』は
まんまと盗まれて……。結局こっちの完敗ね」
「でもその程度でよかったわ。拳銃も盗られなかったし」
「本当はこんな事したくなかったんじゃないかしら。あたしに拳銃を向けられ
たから、緊急的な処置だったのかもしれないわ」
「もう……、ムーンライト様様ね」
「うふふっ、あはは……」
2人は自然と笑顔になり、ワケも分からず笑い合った。

「ヒロミもカンナも、奈緒子はあの美術館の職員だと今でも思ってるわ」
「そう、そうよね」
「ちょっと後ろめたいけどしょうがないわ。でもいつか絶対、月光のヤツを逮
捕してやりましょう。ねっ、奈緒子……」
「でもあたしはムーンライトに面が割れた。もう潜入としては難しいかもね。
もっともそれを知ってるのは、上の人間のごく一部とムーンライト、それに竜
胆晶だけだけどね」
「ねぇ、そういえば、『アルセーヌの瞳』の謎解き、まだ聞いてないわ」
「あぁ、そうだったわね。あれもジェシカがムーンライトならば可能なのよ」
「やっぱりぃ……?」
竜胆は話し出した奈緒子の話に耳を傾けた。

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怪盗ムーンライト
2013-06-19 Wed 06:07
38
「な、なにを言っている……。わたしがムーンライト?」
ジェシカは目を丸くして驚いている。
「あなた一体誰なの?」
円香が奈緒子を睨みつけた。
すると奈緒子は内ポケットから黒革の警察手帳を出した。
「警視庁潜入捜査官、中野奈緒子」
「潜入捜査官?」
「そう、あなたがムーンライトなら、全ての謎につじつまが合う」

そして奈緒子は話し出した。
「まずあなたは、館長室に時限発火装置を仕掛けた。時間が来れば爆竹が爆発
するだけの単純なものをね。目的はその音で自分以外の人間を館長室に向かわ
せること。そうすれば展示室で1人になれる。あなたの仕事は外にワイヤーを
張って首飾りを滑らせるだけだから、1分もあれば事足りる。しかしここで予
定外のことが起こった。展示室に竜胆 晶も残ってしまった」
2人は黙って奈緒子の話に耳を傾けている。
「そこであなたはテーザー銃で竜胆 晶を撃ち、ワイヤーを張って首飾りを滑
らせた。そして自分も撃たれたフリをして床に倒れた。そして森で待っていた
彼女は首飾りを受け取りバイクで逃走する」
「一体何の証拠があって……。あなたはそんなことを……」
「証拠はここにあなたが来たこと。おそらく発信器を付けた彼女のバイクを、
GPSを使って追ってきたのでしょう。彼女と落ち合うために」
「そ、そんなこと」
「そのバイクを調べれば、発信器が見つかるはず。そしてあなたのGPSには
その履歴が残っている。あの山の中に止まっていたバイクに、どうしてあなた
が発信器を付けられるの?」
ジェシカ・アンダーソン、いや怪盗ムーンライトは、不敵な笑みを浮かべた。
「ふっ、さすがね。まさかあなたが潜入だったなんてね。見抜けなかったわ」
「そう……。光栄だわ、ムーンライト」
「でもどうしてあたしが怪しいと思ったの……?」
「数が合わないからよ」
「数?」
「そう、銃声の数が合わなかったの」
「銃声の数が?」
「竜胆 晶に1発。ワイヤーを張るのに1発。そしてあなたが本当に撃たれた
のなら、更にもう1発。合計3発聞こえなければおかしい。銃声はあたしがい
た館長室まで届いていたのだから」
「……」
「でも銃声は2発しか聞こえなかった。それも当然、テーザー銃の電極は2発
しか発射出来ない。じゃなぜジェシカだったあなたが倒れていたの?」
「……」
「森にワイヤーが張られていた以上、それに1発使ったのは間違いない。そし
て竜胆も嘘を言っていない」
「なぜ? 嘘をついているのは竜胆かもしれない」
「知ってるの、知ってるのよ、竜胆 晶ね。ずっとずっと昔から」
「それは警察の同僚として……、どうやら違うみたいね」
「さぁ、どうかしら……」
「まぁ、大体想像はつくわ。要するにあたしとこの子みたいなものね。あなた
と竜胆もそういう関係なんでしょう? 分かるのよ、同じ種類の人間は」
奈緒子は胸のホルスターから拳銃を抜くと2人に向けた。
今度は奈緒子が不敵な笑みを浮かべる番だった。

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怪盗ムーンライト
2013-06-16 Sun 06:08
37
竜胆たちの連絡により七海美術館周辺の道路には非常線が張られた。
しかし最少人数に絞ったことが裏目に出たことにより、竜胆たちは初動捜査に
一手後れを取った。
竜胆たちは捜査の指揮に当たるため、一旦本部に戻ることになった。
竜胆の車にはヒロミとカンナが、ジェシカは自分の車にそれぞれ乗り込んだ。
制服はバイクで1人駐車場を出ていった。


円香は森に潜み、ムーンライトこと小夜の作戦開始を待っていた。
そして時間通り、森にテーザー銃のワイヤー付きの電極が打ち込まれると、そ
れを適当な枝に結び、ワイヤーをピンと張った。
するとそのワイヤーを伝い、『クラリスの首飾り』が滑り落ちてきた。
円香はそれを回収すると、バイクに乗りその場を走り去った。

バイクで山道を走る円香後ろを、1台のバイクが付いてくる。
円香はそのバイクをやり過ごそうと、スピードを落としバイクを路肩によせる
と停止した。すると後ろから来たバイクは、円香のバイクにかぶさるようにし
て停止した。
「……?」
ヘルメットを脱いだ円香に対し、相手はフルフェイスをまだ脱がない。
「首飾りを返して頂戴。持ってるでしょう? クラリスの首飾り」
その声は女の声だ。
「誰……?」
「あたしはあの山の中からあなたの後ろを走ってきた。つまりあなたはあの時
間、美術館横の山の中にいたことになる」
「知らないわ、そんなこと……」
「誤魔化せないわよ、それはGPSにも記録されてる。時間も移動距離も、ど
こをどう走ってきたかもね」
「誰? あなたは誰なの……?」
「そうね、会うのは初めてよね」
相手がフルフェイスに両手をかけそれを脱いだ。ヘルメットの下から出てきた
顔、それは中野美奈子だった。
「あなたは美術館の……」
「そう、七海美術館職員の中野美奈子よ」
「なぜあなたが……」
「あなたがムーンライトの助手ね」
「……」
「 "ムーンライトには影が2つある" というのは前から言われていた。つまり
その影があなた。そうでしょう?」
「……」
「だってムーンライトにしては若いもの。若すぎる。もしあなたがムーンライ
トなら、あなたは15~16歳から世界中の美術館に忍び込んでいたことにな
る。何しろここ十数年、ムーランライトはしたい放題なんだから。でも助手な
ら話は別」
「あなた一体……」
その時、1台の車が近づいてきた。ヘッドライトが2台のバイクと向かい合う
2人を照らした。車は2人の近くで止まりドアが開いた。
降りてきたのは、ジェシカ・アンダーソンだった。
「中野さん、どうしたの? 急にいなくなって」
思わぬ人に出会ったというように、ジェシカはちょっと驚いた。
「あらっ、ジェシカ。ちょうど良かったわ。まさに渡りに船ね」
「この女は……?」
ジェシカは円香を見た。
「あら知らないの? ジェシカ・アンダーソン。いえ、怪盗ムーンライト」

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怪盗ムーンライト
2013-06-15 Sat 11:48
36
「竜胆さん、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。撃たれたワケではないらしい。ジェシカは……」
「ジェシカさんも撃たれてはいないようです」
カンナの腕の中で、ジェシカも目覚めようとしていた。
「あっ、ジェシカさん……、大丈夫ですか?」
「まったく、今夜はなんて刺激的な夜なんだ」
ジェシカが竜胆に目をやると、2人はホッしたように息をついた。
「一体なんだったんだあの衝撃は……」
竜胆は腰に手を当てながら立ち上がった。
「多分、電流……」
ジェシカも起ち上がろうとしていた。そんなジェシカにカンナが肩を貸した。
「電流? スタンガン……ですか?」
「おそらくテーザー銃だろう」
「テーザー銃って、アメリカで使ってる……、あれですか……?」
「そう、あれだ」
ジェシカはカンナのそんな言い方にニコリとすると、言葉を続けた。
「スタンガンの一種だが見た目は銃のそれだ。大きな違いは数メートルのワイ
ヤーの付いた電極を空気圧で射出するということだ。射出された電極は相手に
刺さり、本体で発生させた電流はワイヤーを伝って相手に流れる」
「それじゃ2人はそのショックで……」
カンナは心配そうな顔で2人を見た。
「あぁ、そういうことだな」
「じゃ、あの窓のワイヤーは……」
「テーザー銃で森に向かってワイヤーを張った。おそらく射程距離ギリギリだ
ろうが」
そう答えたのはジェシカだった。
「張ったワイヤーに首飾りを掛け、そのまま森に向かって滑らせる。ここは3
階だからな、おそらくかなりのスピードで滑ったろう。今回展示室をここに変
えたのが、ヤツらには幸いしたわけだ」
「でも、でもですよ」
カンナは首をかしげたまま腕を組んだ。
「首飾りはそうやって消えたとして、竜胆さんとジェシカさんは誰が撃ったん
です?」
「確かに、撃ったのがムーンライトだとして、一体どこにいたんでしょう」
ヒロミもカンナの疑問に同意したようだ。
「今回は月光が変装して紛れ込むことが出来ないように、人数を極端に絞っ
た。館内にいるのは警察の人間がここにいる4人と、館長室にいる制服。そし
て美術館側の人間は館長の赤水七美と職員の中野奈緒子の2人だけ」
そこからカンナが話を続けた。
「そして館長室で破裂音がして……、あっ、あの音は爆竹でした。時限発火装
置で導火線に火を点けたようです。そしてあたしとヒロミさんと制服が、館長
室に向かった……。そしてあたし達が館長室にいる時に、ここで銃声、実際に
はテーザー銃だったわけですけど、その発射音がした。それで駆けつけると竜
胆さんとジェシカさんが倒れていて、窓からは森にワイヤーが張られていた」
「そしてムーンライトもこの窓から……」
そう言ったジェシカの後を続けるものは誰もなく、暫しの沈黙が流れた。
そんな時、展示室に制服警官は走り込んできた。
「竜胆さん、中野美奈子が姿を消しました」
「なに?」
「はい、わたしが館長と話している間に。気が付いたときにはもう……」
カンナはその時一緒にいたヒロミを見た。
「ヒロミさん、まさか彼女が……」
「でも銃声がしたとき、彼女は確かに館長室にいた。その彼女がテーザー銃を
撃つ事は出来ないわ」
謎は謎を呼び、また部屋に沈黙が流れた。

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