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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
W inter Angel
2006-12-26 Tue 23:24
エピローグ
「はぁ~っ、参った参った。何で雪まで降ってくるわけ。あぁーあっ、もうこんな時間。麗子様起きてるかな?」
マリアは階段を上がると麗子の自室をノックした。
「麗子様。麗子様?まだお休みですか?」
ドアノブに手を掛けて訪ねてみるが中から返事はなかった。
「やっぱりまだお休みみたい」
マリアが諦めて戻ろうとしたとき、突然ドアが開いた。
「マリア。マリア」
目を赤く潤ませた麗子がマリアを両手で抱きしめた。
「どうしたんですか?麗子様」
「マリア、あなたどこに行っていたの?捜したのよ」
「クリスマスケーキを取りに、ケーキ屋さんまで行ってました。予約してましたから」
「だってあなたの靴、玄関にあったじゃない」
「ああ、新しいブーツ買ったんです。自分へのプレゼントに。この前『アマデウス』に行ったときに思い出して。そしたら歩きにくくて、おまけに雪は積もってくるし、いつもの倍くらい時間掛かっちゃいました」
「そうだったの。この間悲しそうに空を見上げてるからつい・・・」
「えっ?そうですか?クリスマスなのに雨だから、この雨が雪にならないかなぁって、思ってたんですよ」
「マリア、あたしこの間ね・・・」
麗子は夢のことをマリアに話そうかと思った。
「ううん、何でもない。もういいの」
「何ですか?麗子様ぁ。気になるじゃないですか」
「いいのよ。もういいの。あなたがこうして、ここにいてくれれば」
「変な麗子様」
麗子はベッドの脇に腰を下ろした。その時、1枚の白い羽が舞い上がった。
そうだ、この羽は?この羽はマリアの・・・。
「あれ、すみません。羽落ちてました?この間掃除した時に落ちたんですね」
「えっ?掃除?」
「はい、羽根枕はたきましたから。バルコニーで」
バルコニーで羽根枕を・・・その時の羽がさっき窓を開けたときに、吹き込んだ風で舞い上がって。
「あっ、そ、そうなの。あたしったら」
夢、夢、みんなただの夢なのに。その夢にいい大人が翻弄されて、本当に恥ずかしい。麗子は夢の話をマリアにしなくて良かったと、内心ほっとした。

「なんだかお腹空いちゃった。何かスープでも作って、マリア」
「早いほうが良ければ、インスタントのミネストローネスープがあります。お時間をいただければマリアが腕によりを掛けて、クラムチャウダーを作りますけど。どちらにいたしますか」
「そうねぇ。クラムチャウダーをいただこうかしら」
「はい。それでは早速」
マリアは部屋を飛び出すと、階段を駆け下りていった。
「いいのよ、時間が掛かっても。あなたが作ってくれるんだもの。マリア。
いくら時間があっても、あなたがいない時間では意味がないもの」
暫くして麗子はキッチンへ顔を出した。
「マリア、夕方からモーツァルトコレクションに出かけるわよ」
「はいっ、麗子様。最高のクリスマスプレゼントです」
マリアは最高の笑顔で麗子に振り返った。
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W inter Angel
2006-12-26 Tue 00:08

麗子はマリアの片脚をソファの背もたれに掛け、もう片方の脚は床に降ろし、左手で花弁を大きく割り開いた。
「ああぁ~ん。麗子様ぁ」
「今夜はコレでかわいがってあげるわ。マリア」
麗子は右手に握ったクリスタルの張り型をマリアに見せた。リアルな形をしたクリスタルは、その向こうに点滅するツリーのカクテル光線を、その中で歪曲させていた。麗子はマリアの蜜をそれに塗り付けると、目の前に拡がった花弁の奥にゆっくりと差し込み、出し入れを繰り返した。
「どう?滑りがよくて気持ちいい?」
麗子は緩急を着けマリアを責めた。
「マリア。今夜は歳の数だけ逝くっていうのはどう?ふふふっ」
「そっ、そんなに。お赦し下さい。麗子様ぁ」
「ほぅ~らぁ、こうやって、ほらほら」
「あうっ、ああぁぁ~。れっ、麗子様ぁぁ~。はぁぁ、ああぁ、いいっ」
マリアの喘ぎ声が聖夜の館に響き渡った。

翌朝。クリスマスの月曜日。
「マリア、今何時?・・・マリア。マリア?」
昨夜、麗子はマリアを責め嬲り、その後2人で自室に移動し、今度はマリアに奉仕させ、自らもたっぷり快感を貪った。そしてそのまま眠りに着いた。
マリアも一緒に。そうマリアも一緒だった。しかし麗子の横にマリアはいなかった。
「マリア。どこへ行ったの?」
あの夢の記憶が不安となって麗子の中に頭をもたげてくる。麗子は自室を出てマリアの部屋へ行きドアをノックした。
「マリア。マリア。いないの?」
静かにドアを開け、そっと覗き込む。
「マリア?マリア。寝てるの?」
足音を忍ばせるように麗子は部屋に入った。
しかしそこにもマリアはいなかった。カーテンの閉まった部屋は薄暗く、ベッドを使った形跡もない。毎朝開くPCも今は閉じられたままだ。
1階に降りバスルームを確認する。やはりバスタブは空っぽだった。玄関の隅にあるマリアの靴も昨日のままだ。
館の中はすべて探したがマリアはどこにもいなかった。
時計の針は午前9時30分を回っている。
麗子はもう一度自室に戻った。バルコニーへのカーテンを開けると、弱い冬の日差しが射し込み、部屋の中に暖かみを運び込むようだった。
昨夜からの雨はいつのまにか雪に変わっていた。あの夢のように空から舞い降る雪は、無数の天使の羽のように見えた。窓を開けると雪と共に寒風が麗子を貫く。あわてて窓を閉めた麗子が振り向いたとき、1枚の白い羽がゆっくりとベッドの上に舞い落ちた。
まるでマリアの”サヨナラ”のメッセージのように。
「マリア。あなたまさか本当に・・・まさか、まさかそんな事。あるわけないじゃないの」
泡のように浮かんでくる夢の記憶、その度にそれを打ち消す。しかし、それではマリアはどこへ行ったのか?そしてこの羽は?
麗子の中で全てがあの夢に収束してゆく。いかに打ち消しても、雪が、羽が、そして消えてしまったマリアが、何よりも目の前の事実が、夢を否定する麗子を夢に引き戻していった。
「ああ、マリア。あなたがいなくなったら、あたしは、あたしは明日からどうすればいいの?」
毎朝バスタブにお湯を張ってくれるマリア。
酔って帰ってくれば服をたたんでくれるマリア。
シャワーの時間を見計らってパンを焼き、スープを作ってくれるマリア。
そしてお互いの体を知り尽くし、素晴らしい夜をくれるマリア。
いくつものマリアとの思い出が、麗子の心にフラッシュバックしてゆく。
「あなたがいることがあたしにとっては大切なの。楽しいと時も、悲しい時も、辛い時も、もちろん寂しい時も。いつもあなたは隣にいてくれた。
そんなあなたが突然いなくなるなんて、あたしには耐えられない。あの夢の時だって、ちゃんと”サヨナラ”言ってくれたじゃない。なのに、どうして?」
マリアの部屋に立ちつくし、空を見上げる麗子の頬を涙が伝った。
「あなたは本当に天使なの?本当に天に帰ってしまったの?ねぇ、マリア」
マリアはこの街に数億の羽をまき散らし、天空へと飛び去ってしまったのか。
いったいどんな神様がマリアに帰れと言ったのか。こんな事ならクリスマスなんて来なくてもよかった。マリアのいないホワイトクリスマスなんて、何の意味もない。そう、永遠にクリスマスなんて来なくても・・・。
葉を全て落とした木々の枝に雪が降り積もってゆく。マリアの羽がこの街を、音もなく白く変えていった。
「もうお昼よ、マリア。お腹空いたわ。何か作って。マリ・・ア」
うつむく麗子の目から、熱いしずくが滴った。
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W inter Angel
2006-12-25 Mon 22:45

白いバスローブ姿で髪を拭きながら、麗子が食堂に入ってゆくと、そこには空を見上げるマリアの後姿があった。もうすぐあそこに帰る。帰らなければならない。マリアの背中がそんなことを言っているように麗子には見えた。
振り返ったマリアの顔は、心持ち悲しげにも映り、夢の中で涙を流したマリアの顔を麗子は思い出した。
「おはようございます。麗子様」
「おはよう。マリア」
「麗子様ぁ」
「なぁに?」
麗子は夢と現実がシンクロしてしまい、マリアが天に帰ると言い出すのではないかと思い、不安な気持ちで次の言葉を待った。
「スープ冷めちゃいますよ」
「えっ?スープ?」
「スープですよ。麗子様、いつもよりお風呂長いんですもん」
「ああ、そう?そうだった?」
「もし冷めてたらもう一度暖め直しますから。言って下さいね」
「ええ、わかったわ。ねぇ、マリア?今日はイブよね?」
「はい、そうですけど?」
「あなた、何か予定は?・・・あるの?」
「はい?予定ですかぁ。いえ、別に。いつもイブは麗子様と一緒じゃないですかぁ。もう。麗子様ったらぁ」
「そうよねっ、そうだったわね。ごめんなさい。変なこと聞いちゃって」
「いえっ、別に変な事じゃないと思いますけど。麗子様。どうしたんですかぁ?何か変ですよ」
「ううん。なんでもないのよ。なんでも」
結局マリアに聴いてしまった。あの夢の記憶の呪縛から逃れるには、マリア自身から今の答えを聞くしかなかった。わたしったら・・・何?
そんなにマリアがいなくなるのが怖いの?あの子の代わりなら・・・。
あの子がいなくたって。あの子の、マリアの代わりなんて・・・。
マリアの・・・代わり・・・なんて・・・。
「麗子様ぁ。スープ冷めてませんでしたかぁ」
「えっ?ええ。大丈夫。冷めてなかったわ。ありがとう、マリア」

その夜。食卓には赤い3本のキャンドルが灯り、中央に置かれたローストチキンを飴色に照らしていた。麗子は白いシャツに細身のダークグリーンのタイをきりっと締め、その向かい合った席に座ったマリアは、白と黒のメイド服にこれもまた細身の黒い蝶タイを締めていた。
2人の前には金色のシャンパンが小さな真珠の泡を踊らせている。
隣のリビングに飾った巨大なツリーを見たときの麗子の顔。
「まぁ、まるでエッフェル塔ね。マリア」
その時のことを思い出すとマリアに顔に笑みが溢れた。
「さぁ、乾杯しましょう、マリア」
「はい。麗子様」
二人は細いグラスの足を摘むと、胸元まで持ち上げた。
「メリークリスマス。そして誕生日おめでとうマリア」
麗子がマリアを見つめ、微笑む。
「メリークリスマス。麗子様。ありがとうございます」
クリスタルの触れ合う硬質な澄んだ音が部屋に響いた。
マリアが軽く会釈を返し、微笑み返した。
「さぁ、食べましょう。あたしが取ってあげる」
麗子がローストチキンをナイフとフォークで器用に切り分けていった。
そのチキンをマリアが口に運ぶ。
「コレ、ちょっとパサついてませんか?」
「そうかしら?そんなことないと思うけど」
「そうですか。麗子様がいいなら別にいいですけど。麗子様、あたし昨日『アマデウス』に行ったんですよ。そこでもケーキをご馳走になって」
2人の会話も弾み食事は楽しく進んでいった。マリアは2本目のシャンパンを開けた。

時計の針が午後8時を指す頃、食事を終えた麗子はリビングのソファにその身を委ねた。
「マリア、こっちにいらっしゃい」
「でも、後片付けが・・・」
「いいのよ。明日は休みを取ってあるんだから。いらっしゃいマリア」
リビングに来たマリアは麗子の横に腰掛けた。
「こっち向いて」
そして麗子は振り向きざまのマリアの唇を奪った。メイド服ごとマリアをきつく抱きしめて。
「あふぅ~ん、麗子様ぁ~ん」
麗子の舌はマリアの唇を割り開いた。2枚の熱い舌がマリアの口の中で絡み、お互いを貪るように吸い合いシャブリ合った。
暖かな部屋の中、服を1枚ずつ脱がし合い、マリアは頭のカチューシャだけを残し、全裸になった麗子に押し倒されるようにソファに倒れ込んだ。
マリアは両腕を頭の上に投げ出し、麗子はその二の腕を押さえ込むようにマリアにのし掛かり、胸の敏感な果実の1つを口に含んだ。
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W inter Angel
2006-12-24 Sun 18:38

師が走ると書いて師走。クリスマスイブ前日の土曜日だというのに、麗子は珍しく出勤だった。
「行ってくるわね。マリア。25日のクリスマスは休みを取ってあるから」
「はい。いってらっしゃいませ。麗子様」
いつも通り玄関扉を開いて、マリアが深々と頭を垂れた。曇り空の下、風はないが刺すような冷気が館の中に流れ込んだ
「あっ、そうそう、今日は忘年会だから」
「はい」
「それとお部屋の掃除、頼むわね」
「はい。わかってます麗子様。ピカピカにしておきますから」
この館の年末の大掃除は、とてもマリア1人ではやりきれない。毎年クリスマス後に業者を雇ってプロに任せている。しかしマリア自身の部屋と、麗子の部屋はクリスマス前にマリアが済ませていた。8畳のマリアの部屋はともかく、10畳の麗子の部屋は家具も多く、ほとんど1日がかりの大仕事だった。
麗子を送り出すとマリアは早速掃除に取りかかった。
まずは麗子の部屋からだ。照明器具を取り外し天井から、そして照明器具を洗い、壁、机、本棚、そして大きな窓ガラスを拭くと、次はベッド回りだ。毛布や羽根枕をバルコニーではたいてから干し、その間にフローリングの床を拭き、ベッドメイキングをして、ようやく麗子の部屋の掃除が終了する。
「はぁー。もう3時ぃ。お腹空いたなぁ。あたしの部屋は後でいいや。お昼食べようっと」
マリアは遅い昼食を済ませると、自分の部屋の掃除に取りかかった。勝手知ったる自分の部屋だ。いつもの掃除に窓ガラスを拭いた程度で掃除を終わらせてしまった。それはマリアにはもっと楽しみな事があったからだ。それは居間と食堂のクリスマスの飾り付けをすることだった。
先月注文しておいた、天井に届きそうな大きなクリスマスツリーをリビングに運び込み、サンタやトナカイの人形、綿の雪や星のアクセサリーを飾り、赤や緑のライトを纏わせた。真剣的に電源を入れてみると、それらは眩いばかりに点滅し、光の塔となって屹立した。
その日、麗子の帰宅は0時を回っていた。朝からの雲は厚みを増し雨を降らせた。マリアはこの雨が雪になればいいのにと密かに思った。

そしてクリスマスイブ当日。
いつもよりも遅く起きたマリアは自室のカーテンを開けた。
もしかしたら雪に・・・そんな淡い期待は虚しく打ち消された。空は厚い灰色の雲に覆われ、昨夜からの雨は残念ながらまだ雨のまま降り続いている。
窓を開けると、冷たく湿った風がマリアの頬を撫でて通り過ぎる。この雨が雪になるには十分すぎる程の寒さに、マリアには思えた。
「あーあっ、せっかくのクリスマスイブなのに。雨かぁ。雨は夜更け過ぎにぃ、雪へと、変わってくれないかなぁ」
マリアはため息混じりに窓を閉めた。
忘年会で昨夜帰りが遅かった麗子は、まだ起きてくる気配はない。帰ってきて水を1杯飲んでそのまま倒れ込むように眠ってしまった麗子は、まだ居間に大きなツリーのあることを知らない。あれを見たらどんな顔をするだろう、と思うとマリアはその顔を見るのが楽しみだった。

会社の忘年会の翌日、麗子が目を覚ましたのは、もうすぐお昼になろうかという時刻だった。
昨夜、部屋に脱ぎ散らかしたままの服は、マリアが綺麗に片付けてくれていた。机の上にきちんと置かれたバッグと今朝の朝刊。
麗子は少し偏頭痛のする頭を押さえながら、ベッドから這い出すように起きあがった。いつ着替えたのか記憶のないネグリジェ姿。たぶんこれもマリアが着替えさせてくれたのだろう。本当に昨日の記憶がない。いくら翌日が休みでも、記憶があやふやになる程飲むのは、麗子にしては珍しいことだった。
麗子はネグリジェ姿のまま階段を下り、浴室に向かった。

熱いシャワーを強めに出して目を覚ます。休日でもバスタブにはいつでも入れるように、マリアがお湯を張っていてくれる。
今頃は食事の用意でもしているのだろうか。さっきまでバタートーストの香ばしい香りが、麗子の鼻をかすめていた。
「明日はモーツァルトコレクションに連れて行ってあげなくちゃ。ずっと楽しみにしていたもんね、あの子」
ピンクの入浴材が、麗子の体を優しく愛撫するように揺れている。その中で麗子はあの夢を思い出した。
「あたしったら、何であんな夢が気になるのかしら?馬鹿みたい」
しかし何度打ち消しても、翼の生えたマリアが天に消えてゆく姿が、心の中で繰り返し現れた。その残像を消し去るように、麗子はもう一度熱いシャワーを浴びた。
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W inter Angel
2006-12-24 Sun 11:13

2006年12月22日。今年も残すところ約1週間となった。
クリスマスを控えた金曜日の夕暮れ、マリアは忘れていたクリスマスケーキとローストチキンの予約を済ませ、その帰り道、これもまた忘れていたシャンパンを2本買った。
水色のケーブルニットのセーターに白いダウンジャケットを重ね、その袖口から水色と白の縞模様の手袋が覗いている。頭にはフワフワのボンボンの付いた白いニットのキャスケットをかぶっている。
両手にシャンパンをぶら下げ、頭のボンボンを揺らしながら、マリアはお気に入りのカフェ『アマデウス』の前に立った。ガラスの自動ドアが彼女を迎え入れた。中に入ると、暖かい空気とコーヒーの香りがマリアを包み込んだ。
『アマデウス』は、外出して時間があるときはいつも立ち寄るカフェで、ここのママやアルバイトの響子とも親しくしていた。
「いらっしゃい、マリアちゃん。あらあら重そうね。今日はお買い物?」
「ええっ、すっかり忘れてて。コレを」
マリアは両手のシャンパンを少し持ち上げて見せた。それを見てママの良子が、ハーフを思わせるその顔立ちで優しく微笑みかける。
「いつもの場所空いてるわよ」
40歳になったとは思えない良子は、アップにした髪に手をやりながら、奥のテーブルにマリアを誘った。オレンジ色のセーターに大きな胸の膨らみが見て取れる。ジャケットを脱いで座ると、マリアはレモンティーを注文した。
良子が厨房の奥にいる響子にそれを伝えた。
「よかったわね。シャンパン思い出して」
良子がマリアの両肩から二の腕を、そっと撫で下ろした。
「ええ、忘れたら大変でした。シャンパンもケーキもないクリスマスになっちゃうとこでした」
「そういえば、あさってのイブはマリアちゃんの誕生日だっけ?」
「あっ、そうだ。あとブーツも買わなくちゃ。うふっ」
「まだ忘れてることがあったの?」
「最近、健忘症なんです」
「まぁ、その歳で?」
良子がマリアの髪に、そっと手を触れる。
その時、奥から響子がレモンティーをトレイ乗せて運んできた。
響子はマリアより一回り大きい。薄手のニットにボーイッシュな髪。素足に暖色系のチェックのミニスカートを履いている。そこから伸びた白い太腿がマリアの目に眩しかった。
「マ~リア。はいっ、レモンティー」
響子はテーブルにレモンティーとスライスレモンの乗った小皿。そして注文していないチーズケーキを置くと、良子の隣に並んで立った。
「これは?」
「あたしからのプレゼント。お誕生日おめでとう。マリア」
「おめでとう。マリアちゃん」
「ありがとう。響子。ママさんも」
「ロウソクはないけどね」
思わぬ誕生日プレゼントにマリアの顔から笑みが溢れる。
マリアはスライスレモンをカップに落とした。立ちのぼる香りが仄かに酸味を帯び始めた頃、レモンをすくい出すとカップに口を着けた。長い髪が風に吹かれた砂のようにサラサラと流れた。
そんなマリアの仕草を、良子は熱い眼差しで見つめている。
普段クラッシックを流すこの店も、この時期に合わせてか今日はクリスマスソングが流れている。
「いただきまぁ~す」
マリアは白くなめらかなレアチーズに、銀のフォークを入れ口に運んだ。
「美味しい」
「そりゃアマデウス1番のオススメだもん」
「ほんとに美味しいよ。コレ」
マリアが響子を見上げ2人は微笑み合った。
「どうぞ、ごゆっくり。もう忘れ物がないかよく思い出してね」
ケーキを食べるマリアに良子が優しく微笑んだ。

マリアが館に帰る頃、この街の空には釣り針のような月が輝いていた。
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